お酌【前編】


社会人たるもの、接待や上司とのお酒の席を経験したことのある方は多いと思います。
すると、接待の相手であったり上司に「お酌」することになりますよね。
例えば瓶ビールを「お酌」をする際、ビールのラベルはどっちを向いているか…?意識したことありますか??

相手の方…?
自分の方…?

先日女性のお客様がふとそんな質問をされたのですが、その方はラウンジでお勤めされていて、お店のママから…

「ビールはラベルがお客様に見えないように手の平で隠して注ぐのが常識!」

と教わったのだそうで

『ビールのラベルは見えないように隠すもの』

と認識されていたのだそうです。

ボクのお店では瓶ビールがないので、お酌することがないのですが、ウイスキーを注いだり、カクテルを作る時、ラベルの向きはお客様の方を向け、注ぎ終わったらボトルの正面をお客様の方に向けて置いています。

う~む…一般的には「ラベルを隠す」のが常識なのか、「ラベルを見せる」のが常識なのか?


それなりの年齢になると冠婚葬祭などでビールを注いで回らなければいけない場も増えてきますから、確かに気になり出すと気になることではありますよね。

世界標準的に考えれば「ラベルが見えるように扱う!」もしくは「ラベルの向きなんて気にしない!」という方が多数派だと思うのですが、業態やお店、人によって考え方は違いますので「ラベルを隠して注ぐ」のも間違いというワケではないでしょう。

色々調べてみたのですが「ビールのラベルを隠す」という文化は、どうやら日本ならではのスタイルのようです。

もちろん一般的なBarのスタイルは欧米が発祥で、お酒を楽しむコトに重点をおいた「飲食店」ですから、日本のBarでも「ラベルが見えるように扱う」のが常識と言っても差し支えないハズなんですが、高級クラブやラウンジなど、いわゆる「接待」で使われることの多い業態のお店は、料亭における「お酌」という文化を継承した日本独特の接客スタイルが確立されていて、瓶ビールに限っては「ラベルを隠して注ぐ(お酌する)」のが常識(=作法)となっているところが多いようです。


以前、テレビのドキュメンタリーか何かで、料亭の女将さんがこんなことをお話されていました。

昔、一部の高級料亭では接待に使っていただく際に、接待相手の会社の関連企業を調べてビール会社があった場合、そのビール会社の主力銘柄を用意してお出しするというひと手間をかけていたんだとか。

瓶ビールは、日本酒と違って「徳利(とっくり)」に移し替えるワケにはいきませんから、ひょっとすると接待相手が、関連企業のライバル会社のビールが出されコトに気を悪くして商談がまとまらなかった…
なんてことがあったのかもしれません。

ちなみに日本酒の種類が豊富なお店で日本酒(冷や)を注文すると、お客様にラベル(銘柄名)が見えるように一升瓶を持って、目の前で枡やグラスに注いでくださるコトが多いのですが、これはやはり欧米のバーと同様にお酒を楽しんで頂くためにラベルをお見せしているワケであって、料亭の個室における「接待」とは別モノでしょう。

しかし予約の電話は接待する側の企業から入るものですし、毎回接待される側の情報まで分かるものではありませんよね。

また、インターネットの普及していない時代のことですから、関連企業を調べるにしてもかなりの手間も掛かったことでしょう。

そこで、お客様が来店されてからでも手が打てるように大手ビール会社の主力銘柄くらいはすべて準備しておこうということになったらしいのですが、口では簡単に言えても実際にこれを管理するのは非常に難しく「いつ」「どの銘柄」が「どれだけ」出るかなんか分からない上、現代のように夜中でもスグに配達してくれる酒屋サンもなかったでしょうから、すべての銘柄を品切れさせないように揃えておくにはかなり大きな冷蔵庫が必要だったでしょう。

結局、小さな料亭ではこのようなサービスを真似することは叶わず、代わりにビールの銘柄を絞り込んで、「ラベルを隠して注ぐ」という技(?)を編み出したんだそうです。

そして、この技は同じく接待に使われることの多い高級クラブにも広まり、そこからラウンジ→スナック→キャバクラへと受け継がれ、いつの間にやら業界の常識になってしまったのだとか…

いずれにせよ、ほとんどがボトルキープで成り立っている業態ゆえ「水割り」がスタンダード、ビールはメインとなるウイスキーやブランデーに比べればサイドメニュー的な扱いであることが多いため、ラベルを隠して注ぐことで、少しでもロスを減らすことの出来るこの技は、料亭以外の小さなお店にも都合が良かったんでしょうね


次回に続く…


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
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2017/03/27 (Mon) 21:37 |Barでの小話 |コメント(1)

幸せのそばにハイボール

2人の前に並んだ2杯のハイボールが、汗をかきながら

「はよ飲んでくれよ…」

と訴えかけている

その女性は、男性のことが大好きで、目を輝かせながら話をしている
男性の方はどうだろう…?
いまひとつ気持ちを量りかねます

恋人同士じゃないであろうことは明白ですが、カウンターの中から見えるその2人はとても仲良しで、恋人同士と見紛うほど

しばらくして男性はトイレに立ち、カウンターに残された女性は、溶けた氷でゆるくなったハイボールを一口口に運び、そわそわしている…

 「彼、カッコイイと思いません?」

確かに男前だと思うし、仕事でもそれなりに成功してて、余裕を感じるゆったりとした大人の佇まいと話しぶりには好感が持てます

 「素敵だと思いますよ」

席に戻ってきた男性に、腹を括った女性は

 「・・・・・・めっちゃ好きやから、付き合って欲しいねん!」

突然の告白にビックリの男性
真剣な眼差しで見つめる女性
目のやり場に困ってしまうボク

「もしフラれてしまった時、どう対応しよう?」「ガンバレ!女性!」「YESって言え!男性!」色んなコトを考えながらグラスを磨く、磨く、また磨く…

イヤ~な沈黙が流れて、時間にしたら多分1~2分くらいだろうケド、やけに長く感じてしまいます

 「…トイレに行って、気合い入れて来たのに先に言われてしまったわ!」


・・・・・・・・・てことは・・・・・・・?

女性は緊張の糸が切れたのか、たまらず涙がこぼれてきて嬉しさのあまり言葉にならない様子
 
 「もうエエから、はよ飲んでくれって!」

相変わらずハイボールはそう主張してますが、重苦しくなりかけたお店の雰囲気がパッと華やいだような感じがして、ボクも嬉しくなります

「お待たせ!」とばかりに、ようやくグラスに手を伸ばす2人

 「せっかく作ってもらったのに、だいぶ氷が溶けてしもうたね!マスターごめんね!」

ハイボールの完成度としては、30点ぐらいになっちゃいましたが、2人にとっては忘れられない思い出の味になることでしょう
お帰りの際に女性が、ボクに笑いかけてくれた表情がすごく印象に残り

 「マスターありがとう!」

 「ボクの方こそありがとうございます!」

ご来店された時と、お帰りの際で2人の関係は大きく変わり、腕を組んで歩いて帰られるその後ろ姿に、幸せな気持ちになります

カウンターの上には、一仕事終え、心地よい汗を流すカラのグラスが2つ…
片付けずにしばらくボンヤリ眺めているボク

そんなカウンターでの出来事


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
2017/03/24 (Fri) 23:07 |或る夜の出来事 |コメント(4)

バーテンダーとバーテンと寿司職人


バーテンダーとバーテン

一見同じに感じますが、まったく違います。
今でこそ社会的にも認知されるようになったバーテンダーという仕事ですが、昔はいわゆる「バーテン」という差別語で呼ばれ、あまり胸を張れる職業ではありませんでした。

そんな時代から苦労を重ね、「バーテン」を「バーテンダー」へと高めて下さった先輩方の尽力には感謝の気持ちで一杯です。

「百薬の長」といわれるお酒の良い部分だけを提供し、お酒の本当の美味しさやBar文化を一人でも多くの方に伝えていくのがプロのバーテンダーの仕事。

そんなバーテンダーのお仕事とよく対比されるのが「寿司職人」。
Barもお寿司屋さんも「活き=粋」を売る商売だけに、とても共感が持て、非常に手本となります。

寿司職人は「活き」のイイ魚をたくさん仕込み、繊細な調理でお寿司という作品を生み出します。
そしてカウンターでは「粋」を売り、花板に立つには長い修行や精進に努めるといった所に至るまで、すべて我々が求める価値観に通じています。

ただ、類似しているとはいえバーテンダーと違う点もあります。
それは、ネタ(お酒)の味わいに対してお客様が加わらないという点。

バーテンダーも、シャリ(氷)やネタ(酒やフルーツ)を仕込みお客様を迎えますが、日ごとに変わるお客様の体調や好み、シチュエーションによって必要な味わいを判断し、味わいに変化球をつけてゆきます。
言い換えれば、バーテンダーはいかなる時も「匙加減絶対主義」として、瞬時の心配りがとても重要だということ。

もちろん寿司職人もこのあたりは同じですが、どちらかというと完璧な「仕込絶対主義」(目利き、鮮度、包丁、調理)に絶対の価値を求められ、手際よく握っていくそのあたりの微妙なスタンスの違いがそれぞれの職業の特色を生み出しているんじゃないでしょうか。

どちらの職業もマイスターになるには共通して優れた感覚と確かな技術が要求されます。
 
「技術は人と通じて技となり、知識は社会を通じて知恵となる」
 
それらを求める心は情熱で、それは努力に通じ、やがて自信へと繋がるのです。
マイスターへの道はそのような過程を通じ、開かれるものと信じています。

ボクらはキャリアの長短に関わらず、カウンターに立てば「プロ」です。
なので自分自身を「バーテン」と名乗るバーテンダーは、先にも述べた先輩方の苦労に感謝出来ない、自分の仕事に何のプライドも持たない三流バーテンダーです。

志は常に高く持っていたいモノです。


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
2017/03/17 (Fri) 03:28 |伝えたいこと |コメント(0)

映画検定

「映画検定」

ってご存知ですか?
『邦画・洋画・新作から往年の名作まで、あらゆる角度からあなたの「映画力」をはかる検定です』
というコンセプトで2004年に始まったこの検定。
定期的に開催されてるこの検定。
どんな検定かっていうと…

映画の歴史・作品・俳優・スタッフ・業界などに関する知識をはかる試験制度のことで、日本が誇る映画文化の次世代への継承にも役立てるため。
そして娯楽映画から芸術映画まで、「映画検定」が刺激になって、もっともっと多くの人たちに「映画」見てもらえることを願って作られた検定で、1級~4級から構成され、

【4級】
若い世代の方を対象とし、90年代以降の作品を中心に、映画史では欠かすことの出来ない古典や、監督、俳優、簡単な映画用語を含む、基礎知識を問う。映画ファン入門コース

【3級】
映画全般を通して、映画史に欠かすことの出来ない古典、多くの観客を集めた作品、映画会社、監督、俳優、スタッフや簡単な映画用語についてを問う。映画ファン初級コース

【2級】
映画全般を通して、映画史に欠かすことの出来ない古典のみならず、B級作品、カルト作品も対象とし、映画についてのあらゆる角度からの知識を問う。映画史、映画用語、興行関連なども対象とする。映画ファン上級コース

【1級】
映画全般を通して、あらゆる映画をあらゆる角度から問う。また映画史、映画用語、興行関連など映画周辺の知識についてもより深いレベルで対象とする。映画ファン達人コース

正答率70%以上で認定され、1級を三度合格すると「映画検定マスター」の称号が与えられるんだそうです。

ボクも過去に一度受験し、一応4級の合格証を頂きました。
老若男女問わずたくさんの方が受験に来られていましたし、面白い問題がたくさんあって映画好きにはたまらない経験でした。

今後の開催については未定ですが、もし次回開催されたら自分の今の「映画力」を試してみてはどうでしょう?

映画検定オフィシャルサイト

本屋さんに行ったら、それ用の教材も売ってます。
もしこれを機会に挑戦してみようと考えてる方は勉強してみては?
Wunderでも問題集をご用意しております。


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
2017/03/15 (Wed) 22:16 |映画の楽しみ方 |コメント(0)

酒焼け

「大酒飲みでハスキーボイスの人」の声を「酒焼けした声」なんて言うことがあります。
「酒焼け」と一概に申しますが、そもそもどんなメカニズムなのでしょうか?

『酒焼け』に含まれる「焼け」という言葉は、日焼け、胸焼けにも用いられるように、その部位が変化を生じて健全でなくなることをいいます。
日焼けは、皮膚が持つメラニンによる保護能力を超えた日射を浴びたことによって起こる熱傷で、胸焼けは胃酸が上方に逆流し、食道をただれさせるために起こります。

つまり「焼け」とは、粘膜などに刺激を与えて水分を奪い、健全な組織を破壊することなのです。
喉仏(喉頭)は、気管と食道の分かれ道があるところで、 この喉頭は上下に動くことで、口から入ってきた食物は食道へ、空気は気管へと振り分けているんだそうです。

食べ物が間違って気管に入ってしまうことを「誤嚥」というのですが、これは振り分けがうまくいかなかったことで起こるんだそうです。
お酒を飲んだり、声を発したりをほぼ同時に行うということは、その振り分け作業がとても忙しく、液体であるお酒が喉頭蓋の弁だけではなく、第2の弁、声帯にまで流れ込んでしまうことがあるんです。
そこで飲酒中のお喋りで、一種の誤嚥が起きているのかもしれません…

また、その際お酒の中のアルコールそのものが声帯やその周りの粘膜に触れることもあり、さらに酔うことで呼吸回数も増え、普段以上に空気の流出入が起こることで、気管の粘膜の水分を著しく奪うことにも繋がるんだそう。
つまり「酒焼けした声」とは、アルコール成分と呼吸回数の増加、さらには会話音量の増大などによって、喉をただれさせてしまった声だということです。
声帯がただれている分、閉鎖が完全ではないので、声がかすれます。

ハスキーな声って、ちょっとカッコいいイメージもあったんですけど…

では、酒焼けしないための飲み方ってあるの?

日焼け対策と似ていますが、肌荒れを防ぐためには、ビタミンA、C、Eの摂取が良いといわれているように、お酒を飲む時にそうしたものがたくさん含まれる肴や食事をとることが望ましいですね。

酒飲みでおしゃべり好きの人は、ご注意を…


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
2017/03/13 (Mon) 23:39 |Barでの小話 |コメント(0)

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Wunder

Author:Wunder
「映画」をテーマにしたBarをやってます。
Barで色々なものを飲まれてる方も、今日は新しい味に挑戦してみたいとか、こんな感じで飲みたいとか様々な気持ちがその日の一杯にはあります。
素晴らしい映画と一杯を…
ではいかがいたしましょう?

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