純会員制

古くから営業されてる老舗のBarには、今風スタイルのBarと違った魅力があります。

ボクはどちらかというと気軽に行ける今風スタイルのBarに行くこともありますが、どちらかというとしっぽり飲みたいので、落ち着いたBarで勉強させてもらうことの方が多いように思います。


その夜は、お世話になってる先輩のバーテンダーの方が「たまに飲みに行く」というBarに連れて行って下さいました。

そのBarは、年季を感じさせるのにキレイに管理の行き届いた雑居ビルの中にあります。

「ここや、ここ!」と指差すお店のドアには「純会員制」の文字がデカデカと書いてあります。

扉を開けると、パッと見、古い造りのスナックのような雰囲気で、会員制のお店に初めて訪れた緊張感もあって挙動不審になってしまいます。
するといきなり、萬田久子さんに似たマダムに
 「申し訳ございません、当店は会員制となっております」
と道を遮られ、一瞬ドッキリ。

先輩が
 「いえ、マスターに○○が来たとお伝え下さい」
と告げると、
 「それは失礼致しました。どうぞ」
とマダム。

当たり前ですが、どうやら見せかけだけではなく本当に会員制のようです。


中まで入ってみると、意外と奥行きがあり、フロアだけで30坪は軽くありそうです。
店内の装飾も、古い洋館を思わせる重厚な作りで、ワックスでよく手入れされた家具類は歴史を感じさせてくれます。

カウンターには60歳前後と思われる白髪まじりのオールバックのマスターが一人で立っておられ
 「○○様、いらっしゃいませ。お久しぶりでございます。コチラへどうぞ」
と長~いカウンターの真ん中に案内して下さいました。

先輩曰く、約一年ぶりくらいの来店なんだそうで、それでも先輩のお名前を覚えておられるのは流石です。

バック棚には、ボクも見たことのないウイスキーやブランデーがギッシリで、ボトルも見事に磨き上げられています。

とりあえず、ボクはウイスキーをストレートで、先輩はロックをオーダー…
出てきたウイスキーはなんだか分量が多いようです。

 「ここは何をオーダーしてもダブルが基本なんです」

とのこと。

グラスは当然きっちりバカラ。

周りを見渡すと、カウンターのボクの右手に30歳くらいのラウンジのママさん風の女性が一人、後ろのテーブル席にはアフターと思われるカップルが一組…

 「お客様…あまりキョロキョロするのは失礼ですよ…」

 「すっすみません」

BGMは、微かに聞こえる程度のピアノジャズ。
音楽のボリュームのせいか、他のお客様もずいぶん静かに飲んでおられます。


しばらく先輩と料理やお酒について小声で話し込んでいると、グラスがカラになりかけているのを見極めてか、マスターがサッと前に来られ
 「バーをやっておられるんですか?」
と一言…

 「そうなんです!彼、心斎橋でお店をしてるんですが、色々教えてやって下さい」

 「はじめまして!よろしくお願い致します!!」

それをきっかけに、自分のお店の話や、先輩との出会いなどについて軽くお話させて頂き、次のオーダーをする頃には、右手に座って飲んでおられた女性のお客様と目が合い、軽く会釈。

その後、マスター、先輩と共にお酒の話をしていると、先程の女性がこちらを見ながらニッコリ。
ついついいつものクセで、隣の女性に相づちを求めるカタチで話し掛けてみた時です…

マスターの右手がボクの前にニョキッと伸び
 
 「申し訳ございません。(隣の女性を示し)コチラのお客様はコチラのお客様で、(ボクと先輩を示し)コチラのお客様はコチラのお客様でそれぞれ楽しんでおられます。大変申し訳なありませんが、話し掛けるのはご遠慮下さい…」

と、ニッコリ笑顔で会話を遮られたのです。

 「すっすみません」

と切り返したものの、意気消沈。

その後も普通に会話をしてはいましが、先輩は何かを悟ったのか、次の一杯がカラになるのを見計らって

 「そろそろ行こか」

お会計を済ませて出口に向かうと、マスターがお見送りに出て来られ、マダムがドアを開けて下さいました。

マダムは店を出てからも、エレベーターに乗ってしまうまでお店の前で深く頭を下げてお見送りして下さいました。

ちなみに、お会計はすべてダブルで換算してもWunderの倍以上くらい。


しかし、その値段以上の体験をさせてもらえました。

この純会員制のBarが長くお客様に愛され、営業出来ている理由が分かる気がします。
先輩もボクにコチラのお店から何かを学び取ってもらおうと、連れて行って下さったのでしょう。

日々是精進。
まだまだ学ぶことは多いようです。


それでは今日も素敵な映画と一杯を…

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2017/06/23 (Fri) 01:13 |自分のこと |コメント(1)

キャッシュ・オン・デリバリー

「キャッシュオンって何…??」

酒場で働くボクにとっては普通に使う言葉だったので意外だったんですが、確かに考えてみたら、たまにしか飲みに行かない方にとっては意味の分からない専門用語なのかも知れません。

そこで今日は「キャッシュオン」について詳しく書いてみたいと思います。


まず「キャッシュオン」とは「キャッシュ・オン・デリバリー (cash on delivery)」の略で、アイリッシュパブなど、外国のお客様が多い酒場では「COD」と表示している所もあります。

ものすご~く簡単に言えば、お金と商品をその場でやり取りする方法のコトです。

具体的に説明すると、キャッシュオンスタイルのBarやパブでは、カウンターまで行ってオーダーします。
オーダーした商品が出て来たら、受け取る際に代金を支払います。
商品を手にしたら、後は基本的に店内であれば常識的な範囲でどこで飲食するのも自由です。
(当然ですが、DJブースやカウンターの中などは入ってはいけない場所です。出入り口や通路も人が通れるように空けておくのが常識という意味です)
追加オーダーも同じく、カウンターまで足を運んで下さい。
基本的にはグラスが空になっても、お店の方がオーダーを聞きに来てくれることはありません。

「キャッシュ・オン・デリバリー」というのは、言ってみれば、ハンバーガーなどのファーストフード店の支払い方法とほとんど変わりありませんので、実はお馴染みのスタイルなんです。
聞き慣れない言葉を使っているだけで、何も難しいことはありません。

映画『カクテル』(86)や『コヨーテ・アグリー』(00)などのBarが登場する映画でもお馴染みの光景です。

「キャッシュ・オン・デリバリー」のメリットとしては、お客さんの立場からするとこんなこと
が挙げられます。

 ・基本的にノーチャージであるということ(ライブチャージなどが別途に要る場合があります)
 ・手持ちのお金を計算して飲めるということ
 ・ほとんどのお店で席は自由であるということ(立ち飲みの場合も多いです)

逆に、一杯ごとに代金を支払うので面倒くさいという方もおられるでしょうし、お店の大きさに対して従業員の数が少ないお店が多いため、繁盛時などにはフロア全体にサービスが行き届かず、テーブルが汚かったり、床がお酒でベトベトだったりする所も中にはあります。

何をオーダーすればいいのか分からない方にとっては、ドリンクカウンターに人が並んでいるような状況の時に、バーテンダーに質問や相談をしていられないので、「とりあえずビール」なんてことも少なくありません。

お店の側からしてみれば、従業員の数が少なくても大勢のお客様に対応出来るシステムなので、人件費という大きな出費を減らすことができ、コストダウンに繋がるのは大きなメリットですが、小銭ばかりが入る日もあれば、高額紙幣ばかりの日もあるので毎日の両替が大変であったり、お店の隅々にまで目が行き届かないというデメリットもあったります。

またドリンクカウンターでは、大勢のお客様のオーダーに対応出来るように、製氷機の氷をカクテルに使用していたり、ホースの先に数種のソフトドリンクを出すボタンのついた「ガン」と言われるものを使ってドリンクを作る所が多いため、きっちりとしたBarに比べるとドリンク自体の品質が落ちることはお客様にとっても、お店側にとっても残念なことです。

しかし、ノーチャージでドリンクの価格も安いお店が多いので、一杯だけでも気軽に入って、明朗会計で飲んで帰ることができるのは大きな魅力です。

また、こういったお店では外国のお客様が多いという特色があり、席の移動も自由であることが多いので、様々な国籍の方と仲良くなって外国語を教えてもらったり…ということもあるみたいです。

Wunderはキャッシュ・オン・デリバリーではありませんが、いずれにせよ、いろんなスタイルのお店があるワケですから、それぞれのTPOに合わせてお店を選んで飲んで頂ければいいと思います。


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
2017/06/20 (Tue) 01:12 |Barの楽しみ方 |コメント(0)

コッポラ・ワイン

WunderはBarですから、カクテルやウイスキー以外にも様々なお酒をご用意致しております。

もちろんワインなんかも扱っております。
今日はWunderでご用意しているワインの紹介です。

・フランシス・コッポラ・ロッソ(赤)
・コッポラ・ビアンコ・ピノ・グリージョ(白)

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『ゴッド・ファーザー』や『地獄の黙示録』などの監督として有名なフランシス・フォード・コッポラの作ったワインです。
監督自身が大のワイン好きで、「自分のワイナリーを持って、自分でワインを作る」というのが夢だったそうです。

そんな彼が自分の夢を叶えて送り出したワインです。

値段もピンキリで、たくさんの種類があるコッポラ・ワイン。
批評家からの評価も高く、アメリカでは人気のワインなんだそうです。

Wunderで取り扱っているのは、その中でもスタンダードなもので、非常にコストパフォーマンスに優れている飲みやすいタイプのものです。

赤ワインの方は、完熟した果実のフレーバーがまろやかなジューシーな口当たりで、白ワインの方は、中辛口で、口当たりの良い軽やかなワインです。

ナパ・ヴァレーにある醸造所には、『ゴッド・ファーザー』で使われた机や、『ドラキュラ』の衣装、『タッカー』の車など、まるでコッポラ美術館さながらなんだそうです。

いつか行ってみたいですね。

映画好きに味わって頂きたいこちらのワイン、是非お召し上がり下さいませ…


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
2017/06/18 (Sun) 01:10 |カクテル以外のお酒 |コメント(4)

Wunderシアターカクテル 3

今日もWunderでお出ししているシアターカクテルのひとつをご紹介させて頂きますね。

「ゴジラ」 Godzila(1954)
2017061523454042e.jpg

すべての始まりとなった1954年製作の『ゴジラ』。
核実験によって誕生した大怪獣「ゴジラ」をイメージして作ったこのカクテル。
内容量の9割がウォッカという破壊力満点の一杯で、ゴジラの怒りや放射能火炎などをイメージし、グラスの底に「赤」を沈めております。
アルコール度数の非常に高いカクテルですので、お酒の強い方向けです。

二層になっておりますので、マドラーで混ぜてお召し上がり下さい。


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
2017/06/16 (Fri) 00:02 |シアターカクテル |コメント(0)

ロードムービー

ゆっくりと動き出す6両の電車

滴る汗をタオルで拭う会社員の男性

週刊誌に夢中になってる若い男

鏡を覗き込んでメイクに余念がない若い女

何やらカバーのかかった文庫本をむさぼるように読みふけるiPod男

口を押さえてはいるが、自分の声の大きさに気付いていないケータイ女

乗客が少ないのをいいことにイスに胡坐をかいてソファ扱いの女子高生

だけど次の駅で乗ってきた赤ちゃんを抱いた若いお母さんに席を譲る女子高生

車両の連結部の扉が開く度に「もうちゃんと閉めてよ!」と舌打ちしながら閉めるザ★大阪のおばちゃん

買ったばかりのお菓子の袋を破ろうとする男の子

「帰ってからにしなさい!」と叱る母親

その隣りで遊び疲れて眠る弟

それを微笑ましく見つめるおばあちゃん

手すりに摑まってる目の不自由な若い女性

電車はゆっくりと駅に到着

イロトリドリの人生を吐き出し、ゆっくりと走り出す電車

「今日は暑いな」とため息を吐くボク

空は快晴

「今日も一日頑張ろう」


それでは今日も素敵な映画と一杯を…
2017/06/15 (Thu) 02:24 |或る日の出来事 |コメント(0)

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プロフィール

Wunder

Author:Wunder
「映画」をテーマにしたBarをやってます。
Barで色々なものを飲まれてる方も、今日は新しい味に挑戦してみたいとか、こんな感じで飲みたいとか様々な気持ちがその日の一杯にはあります。
素晴らしい映画と一杯を…
ではいかがいたしましょう?

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